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【私を知らないで】

【私を知らないで 白河三兎】

まだ読んだことのない作家で、惹かれるタイトルのものを、と探して手に取った。結果、期待以上の “大当たり” だった

ややこしくて、まっすぐで、自分のことを分かっているが、思うようには変えがたい現実を抱えて、それぞれの個性と培ったスタイルを武器に日々を生きる中学生たち。主役級も、脇役も、読むうちに登場人物の多くを好きになれた。

友を、気になる人を、救いたいと思う純粋な気持ちと、無力さと、ひたむきさ。己の分をわきまえたり、それに抗ったり。

精度の高い文章力で、過不足なく書かれていると感じた。章題と内容のリンク。タイトルの意味が明かされるタイミング。巧いと随所で思った。物語の終わり方も、ぐっときた。

どうにかこうにかして、シビアな現実の難題を乗り越える。しかし、大人になっても、すべて丸く収まるわけではない。また違う形で難題は残った。それが人生かもしれない。ジレンマはなくならないが、それでも…。自分の、誰かの、思いと向き合いながら、日々を生きる。

「あの頃」と「今」のつながりの描き方に、僕は納得できた