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出会いの記憶1

教師とリーマンの話の他に、

出会ったたくさんの面白キャラを書いていこう。

18歳予備校の夏、私は広島に行った。

代ゼミに通っていたが、

好きな先生が東京から来るってことで1泊2日一人旅。

勉強しにきてるんだからトーゼン男の人と遊ぶつもりなんてない。

講演は明日だから、今日は広島市内を観光しよう。

そう思って原爆記念公園を訪れる。

今思い出すと8月の上旬だったか、だからたくさん慰霊碑にカラフルなヒモがかけられていたのか。

真剣に慰霊碑を読み込む人たちの横を場違いそうに通り過ぎ、市内に戻る橋を渡ろうとした。

その時。

「観光してるの?」

と45歳くらいのおじさんが話しかけてきた。

「…はい。」

「今からどこ行くの?」

「特に考えてません。」

厳島神社とかいった?行ったことないなら行った方がいいよ!」

「…そうですか。じゃあ時間あったら行きます。」

「いつ帰るの?」

「明日です。」

「じゃあ明日いってみたら?」

「いえ、明日は大事な用事があるのでいけません。行くとしたら今から…。えーと…電車で30分くらいですか?」

「今からいくの?えー、そしたら連れてってあげるよ!夕方になると神社にいくフェリーがなくなるから早くいかないと!」

「え、そしたらいいです…。」

「遠慮しないで。車近くに停めてるから。」

完全におじさんペースだな…下心あるんじゃないの…と

思いながらも厳島神社は見てみたいという欲に負け車に乗り込む。

今考えたら超軽率だよね。

誘拐、殺人事件になってもおかしくないわ。

でもおじさんはまあまあ普通のおじさんだった。

おじさんは運転しながら携帯の裏を見せてきて

「これね、うちのガキ。2人とも小学生なんよ。」

子供のプリクラ。

こうゆうおじさんは少しだけ信用できる。

家族を大事にしてるって思うと悪いことはしないだろうと安心する。

少しだけだけど。

「あ、ここから厳島神社がよく見えるんだよ!」

そこは高台になっていて厳島神社全体が見渡せるというのだ。

おじさんはガードレールを越えた砂場に踏み込む。

その先は背が低めの木が生い茂っていて崖のようになっていた。

「来てみなよ。」

突き落とす気じゃないだろうね…と警戒しながらガードレールを越えた。

眼下には海が広がり島がみえた。

が。

厳島神社を見たことがないからどの島が厳島神社か分かるはずがない。

「どれ…」

私が見えにくいと思ったのか、

おじさんはふいに私の膝を抱きかかえ上に持ち上げる。

「え!ちょっとヽ(´o`;」

「見えるー?」

おじさんの顔が私のお尻辺りにあるのが気になって気になって厳島神社どこじゃない。

「み、見えました!降ろして…」

「見えたなら良かった!じゃ行こうか」

抱き上げられたことでわたしの心臓はバク鳴りしていた。

そして厳島神社のフェリー乗り場に到着。

「ほんとに行っちゃうの?」

「? ほんとに行きますよ。ここまできたんだし。」

「そっか…また明日会えない?」

「明日は無理ですよ。」

おじさんは何がしたいんだろう。

明らかな下心でもないんだけど、物足りなさが伝わって来る。

明日会うときっと私はこのおじさんに抱かれる気がする。

さっき抱き上げられた時そんなに嫌じゃなかった。

求められたら私はしてしまうだろう。でも。

さっきの子供達の顔が頭に浮かんで、

絶対そんなことしてはならないとおもった。

そう思ってお礼を言って振り返ることなくフェリー乗り場に向かった。